自律型エージェントとは:その概要と仕組み

このガイドでは、自律型エージェントとは何か、どのように計画を立て、ツールを使い、記憶し、自らの作業を確認するのか、そしてリサーチ、メール、授業の課題、ショッピングにどう活用されているのかを解説します。

Diagram of an autonomous agent comparing three vendors: a person sets the goal, the agent searches the web, reads each page for pricing and features, and builds a side-by-side table, then the person reviews it and decides.

自律型エージェントとは

自律型エージェントとは、目標に向かって自ら作業を進めるAIシステムです。人が望む結果を伝えると、エージェントが手順を考えて実行します。

たとえば、ある人が3つのプロジェクト管理ツールの中から1つを選びたいとします。自律型エージェントは、各ツールを検索して料金ページを開き、違いを整理したうえで、完成した比較結果を返すことができます。人は目標を設定して結果を確認し、その間の作業はエージェントが担います。

現在のソフトウェアエージェントの多くは、大規模言語モデルを使って指示を解釈し、次に何をすべきかを判断します。画像や音声も処理できるモデルもあります。ウェブ検索、ボタンのクリック、メール送信を行うには、モデルをツールに接続し、その要求を実行するソフトウェアがエージェントに必要です。

プロジェクト管理ツールの例では、LLMとエージェントは次のように動作します。

  1. LLMが目標を読み取り、1つ目のツールの料金を検索するための要求を書きます。
  2. エージェントのソフトウェアが検索を実行し、結果をテキストとしてLLMに返します。
  3. LLMは結果を読み、次のステップ(料金ページを開く)を選んで、新しい要求を書きます。
  4. このサイクルは、LLMが比較は完了したと判断し、最終的な回答を書くまで繰り返されます。

自律性のレベル

エージェント型AIシステム(質問に答えるだけでなく、行動を起こすために構築されたAI)では、自律性は設計上の選択です。同じエージェントでも、ステップごとに確認を求めるようにも、タスク全体を単独で完了するようにも設定できます。

ワシントン大学の研究者は、エージェントが持ちうる自律性の程度の違いを説明するために、5段階のフレームワークを提案しています。

レベル

人の役割

作業の分担方法

1

操作者

人が各ステップを指示し、判断を下します。エージェントはそれを実行します。

2

協働者

人とエージェントが一緒に計画を立てて作業を進め、人はいつでも作業を引き継げます。

3

相談役

エージェントが主導し、途中で人に好みや専門知識を尋ねます。

4

承認者

エージェントは独立して作業し、リスクのあるステップや事前に定められたステップについてのみ承認を求めます。

5

観察者

エージェントは完全に自律して作業します。人はそれを監視し、停止させることができます。

レベル4では、エージェントは発注書の調査と作成を自ら行い、提出の前に一時停止することがあります。レベル5では、発注書の提出まで行います。

自律型AIエージェントと自動化、チャットボットの違い

自律型エージェントは、チャットボットやワークフロー自動化と2つの点で異なります。自らステップを決めること、そして他のアプリやウェブサイトで行動を起こすことです。

チャットボットは会話の中で質問に答えますが、通常は会話の外で行動することはありません。ワークフロー自動化は行動を起こしますが、あくまで誰かが事前に設定した手順に従うだけです。一般的な種類として、ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)があります。これは、あるシステムから別のシステムへのデータのコピーなど、ルールに基づく単純なタスクを繰り返し実行するソフトウェアです。

自律型エージェントはその両方を行います。他のソフトウェアの中で行動し、与えられたツール、権限、指示の範囲内で、目標に向けたステップを自ら選択します。

注文の遅延に関する苦情を例にとると、違いがよくわかります。チャットボットなら、配送ポリシーについてあらかじめ用意された説明で返信するかもしれません。ワークフロー自動化なら、定型の「注文遅延」メールを送信するでしょう。自律型エージェントなら、注文を調べて配送中に紛失したことを突き止め、代替品を手配し、顧客に最新の状況を伝えることができます。

チャットボット

ワークフロー自動化

AIエージェント

自律型エージェント

リクエストへの対応

会話の中で回答する

事前に設定された一連の固定ステップを実行する

ツールを使ってタスクを実行する

複数ステップの目標を最初から最後まで完遂する

ステップを決めるのは誰か

人

ワークフローを構築した人

人とエージェントで分担

エージェント

他のソフトウェアで行動するか

通常はしない

する(構築されたステップの範囲内で)

する

する

予期しないことが起きたとき

人に任せる

停止するか失敗する

多くの場合、人に確認する

計画を調整し、別の方法を試す

自律型エージェントの仕組み

自律型エージェントは、タスクを完了するために4つの能力を活用します。ステップの計画、ツールの使用、実行済みの内容の記憶、そして自らの結果の確認です。より大規模なタスクでは、複数のエージェントからなるチームに作業を分担させるエージェントもあります。

1. 目標の分解と計画の立案

目標は通常、1つのステップで実行するには大きすぎるため、エージェントの最初の仕事はそれを小さなタスクに分解することです。たとえば、ユーザーがチームのオフサイトミーティングの計画を依頼した場合、エージェントはその目標を、日程の決定、予算内の会場探し、空き状況の確認、招待状の作成に分けることができます。

エージェントは、その構築方法に応じて、事前に計画を立てることも、進めながら計画することもできます。事前に計画を立てるとは、開始前にすべてのステップを書き出すことで、短く予測しやすいタスクに適しています。進めながら計画するとは、次の1~2ステップを計画して実行し、返ってきた結果に基づいて修正していくことです。オフサイトの第一候補の会場が予約で埋まっていても、エージェントは最初からやり直さずに次の候補に移れます。

中国人民大学によるLLMベースの自律型エージェントに関するサーベイでは、何の結果も見ないうちに完璧な計画を書くのは難しいため、この2つ目のアプローチのほうが複雑なタスクにうまく対応できるとされています。多くのエージェントは両者を組み合わせ、まず全体の計画を大まかに作成し、作業しながら修正します。

2. ツールを使った行動

計画ができたら、エージェントはタスクを1つずつ進め、それぞれに適したツールを選びます。

  • 会場を探すには、「オースティン近郊の20人向けオフサイト会場」のようなクエリでウェブ検索を使うかもしれません。
  • 空き状況を確認するには、ブラウザで各会場の予約ページを開き、カレンダーを読み取るかもしれません。
  • 招待状を送るには、API(あるソフトウェアが別のソフトウェアにデータや操作を要求できるようにする接続)を通じて、その人のメールに接続するかもしれません。

各アクションの後、エージェントは返ってきた内容を読み、次の動きを決めます。検索で5つの会場が見つかれば、その空き状況を確認します。予約ページが読み込めなければ、その会場の電話番号の掲載情報を当たるか、次の候補に移ります。

エージェントが持つツールによって、どのタスクを単独で完了できるかが決まります。メールへのアクセス権がなければ、招待状を作成することはできても、送信はできません。

3. メモリによる進捗の追跡

エージェントは作業を進めながら、何をしたか、何がわかったかを把握しておく必要があります。3つの会場を確認し終えた時点で、どこが予約済みで、どこに空きがあり、それぞれの費用がいくらかを知っていなければなりません。この記録は、LLMのコンテキストウィンドウ、つまりモデルが一度に考慮できるテキストの量の中に保持されます。

長いタスクでは、コンテキストウィンドウに収まりきらなくなることがあります。長期メモリを持つエージェントは、情報をモデルの外部(通常はデータベース)に保存し、現在のステップに必要なものだけを取り出すことで、これに対処します。

長期メモリはタスク間でも引き継がれます。来年のオフサイトを計画する時期になれば、エージェントは今年の会場リストや予算を再利用したり、チームが車で1時間以内の会場を好むことを思い出したりできます。

4. 結果の確認と軌道修正

多くのエージェントは、作業中にステップがうまくいかなかった兆候に注意を払っています。予約フォームがエラーを返したり、検索結果が空だったりすれば、別の方法を試します。予算をわずかに超える会場を許容するかどうかなど、単独で下すべきでない判断に差しかかると、人に尋ね、その回答に基づいて調整します。

多くのエージェントは、作業を引き渡す前に結果を見直します。LLMは自らが生成したものを読み返して目標と照らし合わせ、不足や誤りを洗い出します。エージェントは結果が目標を満たすまで修正と確認を繰り返します。たとえば、招待状に会場の住所が抜けていれば、レビューでそれが見つかり、エージェントは送信前に住所を追加します。

5. 複数のエージェントへの作業の分担

複数のエージェントで分担すると、より速く進むタスクもあります。リードエージェントが作業を分割し、その一部をサブエージェントに割り当てます。

Perplexity Computerはこの方法で動作します。人が望む結果を伝えると、Computerはそれをタスクとサブタスクに分解し、それらを実行するサブエージェントを作成します。サブエージェントは、ウェブでのリサーチ、ドキュメントの生成、データの処理、APIを介した接続済みサービスの呼び出しを行えます。

Computerは問題に直面すると、それを解決するための新しいサブエージェントを作成します。各サブエージェントは異なるAIモデルで実行することもできるため、作業の各部分を最も適したモデルに任せられます。

つまりオフサイトの例であれば、あるサブエージェントが会場を調べ、別のサブエージェントがチームのカレンダーを確認し、3つ目のサブエージェントが交通手段を調べる、といった具合です。

自律型エージェントの活用方法

人々が自律型エージェントを使うのは、主にリサーチ、文章作成、メール、学習といった日常的な知識労働です。ハーバード大学とPerplexityの研究者による調査では、生産性と学習に関するタスクがエージェント型クエリの57%を占めていました。以下の例では、それぞれの種類の作業でエージェントが何をするかを紹介します。

リサーチと分析

リサーチは多くの小さなステップを要するため、エージェントに適しています。エージェントは検索し、情報源を開いて読み、それぞれの内容を比較できます。たとえば、「リモートワークと生産性に関する最近の研究を3つ見つけ、それぞれの結果を要約して」というクエリを考えてみましょう。エージェントは研究を検索し、最も関連性の高いものを開きます。各研究の結果を読み、すべての情報源へのリンクを付けた要約を作成します。研究がペイウォールの向こうにあれば、エージェントは次の研究に移ります。この調査では、研究の要約と分析がエージェント型クエリの7%を占めています。

ドキュメント、メール、カレンダー

エージェントは多くの場合、人々が日常的に使っているツールの中で作業します。ハーバード大学とPerplexityの調査では、Googleのドキュメントツールとメールが最も多い上位2つで、合わせてエージェント型クエリの約4分の1を占めていました。たとえば、「今週の未読メールに目を通し、クライアントからのものにフラグを付けて、日程調整の依頼への返信を下書きして」というクエリを考えてみましょう。エージェントは受信トレイを開いてメッセージを分類します。カレンダーで空いている時間を確認し、各依頼への返信を下書きします。下書きは送信せずに保存できるため、本人が1通ずつ事前に確認できます。

学習と授業の課題

学生は勉強にエージェントを使っています。この調査では、授業の課題がエージェント利用における単一カテゴリーとして最大で、エージェント型クエリの13%を占めています。「講義資料の第4章について小テストを出して」のようなクエリを受けると、エージェントはコースのウェブサイトにアクセスして該当の章を読み、要点に関する問題を作成し、学生の解答をチェックします。同じ方法は、なじみのない業界について早く知識を身につけたい社員など、新しい分野を学ぶすべての人に役立ちます。

ショッピングと比較

ショッピングはエージェント型クエリの10%を占め、その大半は製品の検索と比較です。「評価の高い400ドル未満のスタンディングデスクを探して」と頼まれると、エージェントは複数の小売店を検索し、価格と評価で絞り込み、上位の候補を比較して、最適なものをカートに追加することもできます。複数のウェブサイトにまたがる比較をエージェントに任せれば、各商品ページを開いて照らし合わせる必要がなくなるため、大幅な時間の節約になります。

自律型エージェントを活用するための7つのベストプラクティス

1. 確認しやすいタスクから始める

最初に任せるタスクとして最適なのは、ミスに気づきやすく、修正の手間も少ないものです。リサーチの要約や製品比較は良い出発点になります。エージェントが情報源をリンクしていれば、作業の確認は数分で済みます。信頼が高まるにつれて、より多くのステップを含む長いタスクを任せられるようになります。

2. 明確な成果と制約を設定する

エージェントは、タスクがなぜ重要なのかを把握していると、より適切な判断を下せる場合があります。優れたクエリは、外部の請負業者に渡す依頼書のようなものです。目的、対象読者、すでに分かっていること、すでに除外したことが盛り込まれています。「取締役会向けのメモのために、この3社のベンダーを比較してください。取締役会が最も重視しているのは導入リスクで、SOC 2に準拠していない企業はすでに除外しています」と伝えれば、エージェントは自ら判断を下すために必要な情報を得られます。

3. 承認のチェックポイントを設ける

メールの送信、購入、ファイルの削除、フォームの送信など、取り消しのきかない操作もあります。エージェントが対応している場合は、こうした手順の前に一時停止して確認を求めるよう設定しましょう。クエリ自体で停止ポイントを指定することもできます。「返信の下書きを作成して、送信はしないで」や「最適な商品をカートに入れて、購入手続きはしないで」と伝えれば、エージェントはどこで止まって操作を人に戻すべきかを正確に把握できます。

4. 作業の前に計画を確認する

大きなタスクの場合は、作業を始める前に計画の概要を示すようエージェントに依頼しましょう。計画の確認はすぐに済みますし、その段階で誤解を正すほうが、完成した成果物で問題を見つけるよりもはるかに低コストです。

5. アクセスをタスクに必要な範囲に限定する

エージェントがアクセスできるアカウントはすべて、エージェントが操作できるアカウントでもあります。タスクに必要なアプリだけを接続すれば、機密データに手が届かないようにでき、問題が起こりうる範囲も限定できます。ベンダーを調査するエージェントにメールへのアクセスは不要です。返信の下書きを作成するエージェントには必要ですが、送信の権限までは必要ないかもしれません。

6. チェック項目をクエリに組み込む

エージェントはすでに自身の出力を見直しているため、クエリで何を確認すべきかを指示できます。良い結果の基準(「すべての数値には2025年以降の日付の情報源が必要」など)を示すと、エージェントは作業を返す前にその基準を適用します。確認済みの事実と自身の推論を区別し、前提を明示するよう依頼すれば、人によるレビューがより速く、的を絞ったものになります。

7. うまくいった方法を再利用する

優れた結果を生んだクエリは、次の同様のタスクのテンプレートとして使えます。前四半期のレポートなど、良い出力の例をエージェントに示すほうが、形式を言葉で説明するよりも効果的なことがよくあります。繰り返し発生するタスクは、定常的なワークフローにできます。

Perplexityの自律型エージェントへの取り組み

Perplexityは2つの自律型エージェントを提供しています。Comet Assistantはブラウザ内で日常的なタスクを処理し、Perplexity Computerは数時間以上にわたって実行されることもある大規模なプロジェクトを担います。

Comet Assistantは、PerplexityのAIブラウザであるCometに組み込まれています。ユーザーがすでに開いているウェブサイト上で動作するため、ツールを切り替えることなく、会議の予定設定、ドキュメントの編集、メールの送信、航空券の予約などを行えます。

Computerはクラウドで動作し、前述のとおり、各目標をサブエージェントに分割して処理します。数百のサービスに接続でき、作業の各部分に特定のAIモデルを選ぶこともできます。ComputerはProおよびMaxの加入者が利用できます。

ブラウザでエージェントを試すならComet Assistant、より大きなプロジェクトを任せるならPerplexity Computerをご覧ください。

よくある質問

自律型エージェントはエージェント型AIと同じですか?

いいえ。ただし、この2つの用語には重なる部分があります。エージェント型AIは通常、計画を立てて行動することで目標を追求するAIシステムの幅広いカテゴリーを指します。自律型エージェントはそのカテゴリーに属する特定のシステムで、ステップごとの承認をほとんど必要とせずに作業を遂行します。

すべてのAIエージェントは自律型ですか?

いいえ。人の指示があったときにだけ各ステップを実行するエージェントもあれば、タスク全体を単独で完了するエージェントもあります。前述の自律性のレベルは、人がステップごとに操作するエージェントから、人が監視するだけのエージェントまで、その全範囲を示しています。

自律型エージェントは購入や支払いができますか?

ウェブサイト、権限、安全対策によっては、購入を支援できるエージェントもあります。Comet Assistantは製品を比較し、購入手続きをサポートできます。PerplexityのInstant Buyを使うと、対象となる米国のユーザーはPerplexity内で対応製品を購入でき、決済方法としてPayPalも利用できます。

自律型エージェントを使うにはコーディングスキルが必要ですか?

既製のエージェントの多くは、コーディングなしで利用できます。自然言語による指示やグラフィカルなインターフェースでエージェントを構築できるプラットフォームもあります。コーディングは、カスタム統合、デバッグ、より専門的な動作に役立ちます。