「な」という文字の成り立ち
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ひらがなの「な」は、平安時代に漢字の簡略化から生まれた文字で、「奈」という漢字の草書体を元にしています。この文字の成り立ちは、日本独自の文字体系であるひらがなの発展過程を象徴的に示しています。
「な」の歴史
奈良時代、日本語を表記するために用いられた万葉仮名において、「な」の音を表すには複数の漢字が使用されていました。主に「奈」「那」「名」などの漢字が「な」の音を表すために用いられました
1
2
。
万葉仮名は、漢字の意味を無視して音だけを借用して日本語を表記する方法で、「真仮名」または「真名仮名」とも呼ばれていました2
。この表記法は、日本固有の言葉を表すために発展し、3世紀頃の魏志倭人伝に登場する「卑弥呼」のような固有名詞の表記から始まったとされています1
。
奈良時代には、万葉仮名を楷書や行書で書くのが一般的でした1
。例えば、『万葉集』に収録されている大宰府少弐小野老朝臣の歌「あをによし、ならのみやこは、さくはなの、にほふがごとく、いまさかりなり」は、「青丹吉 寧樂乃京師者 咲花乃 薫如 今盛有」と万葉仮名で表記されています1
。
万葉仮名の特徴として、一つの音に対して複数の漢字が使用されていたことが挙げられます。「な」の音を表す漢字だけでも、上記の「奈」「那」「名」以外にも様々な漢字が使用されていました2
。この多様性は、後の平仮名や片仮名の成立につながる重要な要素となりました。
万葉仮名は、奈良時代以降も使用され続け、平安時代に入ってからも神道の祝詞や歌謡、辞書などで使用されていました2
。しかし、平安時代になると、この万葉仮名を草書体で書いた「草仮名」が発展し、これが後のひらがなの起源となっていきます1
。
奈良時代の万葉仮名における「な」の使用は、日本語の文字表記の発展過程を示す重要な一段階であり、後の平仮名「な」の成立につながる基盤となったのです。2 sources
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